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養分英雄伝説第9話「追証通知~ロスカットを回避せよ~」

前回までのあらすじ:

利益を細かく刻みながらサクサク稼ぐため、スキャルピングトレードを始めたぱおにゃん。

しかし不安定な取引基準と危ういメンタルのため、錯乱トレードを繰り返します。

ポジポジ病も発症し、損失が重なった結果行きついた先はハイレバトレード。

思考放棄からの放置プレイで、口座は含み損で真っ赤に染まります。

そして証拠金維持率が100%を下回った時、証券会社から1通のメールが届いたのでした。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

追証のお知らせ…?

ぱおにゃんは週明けの朝、証券会社から来たメールを読んで震えあがりました。

//証拠金維持率が規定の割合を下回りました。本日18時までに証拠金維持率が既定の割合を維持出来ない場合、強制決済されます//

FXは証券会社に入金してあるお金を担保に取引を行います。

追証とは、証拠金維持率が一定の%(今回は100%)を下回った際、担保に必要な額を補充しないと、強制決済(損切)しますよ、というお知らせです。

口座残高を携帯で確認してみると、残額を全て入金してもギリギリお金が足りません。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

ヤバイ!! 金を搔き集めないと!!

ぱおにゃんの顔面からは血の気が引いて真っ白です。

まるでイカのような透き通った白さです。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

で、でも今日は平日…

そう、ぱおにゃんはサラリーマンなのです。

平日は普通にお仕事があります。

仕事中に入金する暇なんてありません。

真面目なので、仮病を使って仕事を休むなんてこともしません。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

仕方ない…昼休みに行くしか…!

実はぱおにゃんは通勤に便利という理由から、会社の近くに住んでいました。

なんと驚き、自宅まで徒歩10分です。

ぱおにゃんは考えました。

「自宅から会社までの往復が20分、家中の金を搔き集めて、ATMまで走って入金するのに15分…」

頭の中は仕事の時より高速回転します。

扇風機の羽より激しいスピードです。

急速回転する脳からは、入金までの最短スケジュールを叩き出します。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

ATMから自宅まで戻って、証券口座に入金操作するまで15分…

合計50分です。お昼休みは1時間あるので、余裕をもって会社に帰れます。

ちなみにお昼ご飯を買う時間も、食べる時間も当然ありません。

仕事前にはトイレに行く習慣があるので、ご飯どころではないのです。

お仕事に集中するために必要なので、これは譲れません。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

これしかない!

こうして追証入金作戦が決まり、ぱおにゃんは出勤することにしたのでした。

仕事中は、昼休みはまだかと気を揉みながら時計をチラ見し続けます。

そして昼休み。

ダッシュで家に帰ります。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

金…金…

鬼の形相で緊急時用のお金入れから札束を取り出します。

それは万が一病気で動けなくなった時用の、手元に残しておいた1か月分の給金でした。

いざという時にとっておいたお金が今、役に立つのです!

ぱおにゃん
ぱおにゃん

これと財布の金をいれればギリギリ足りる!!

本当に瀬戸際でした。

財布に残ってた万札を全て抜き取り、緊急用の札束と合流させます。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

ATMへGO!

慌ただしく家を飛び出します。

赤信号でも関係なく突っ切りたい、そんな気持ちをグッと我慢して信号はちゃんと待ちます。

交通規則は守らなければなりません。

信号が変わると走り出します。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

うおおおお急げえええええ

ただし他の人にはぶつからないように気を付けます。

万が一激突したら大変な迷惑です。

お互い怪我をしたら、お互い困りますし、入金も間に合わなくなってしまいます。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

早く入金しなきゃっ…

焦る気持ちとは裏腹に、安全に気を付けながら駆け込んだATM。

お昼なので人はいませんでした。

ガラガラの閑古鳥です。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

やったぜ!

操作盤を手早くタップしていきます。

ガガガガウイーン

無機質な音と共に、汗と涙の結晶だった札束達は目の前から消え去りました。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

ああ…ボクのお金が飲み込まれていく…

寂寥の想いが募ります。

しかしATMにお金が飲み込まれたのを確認した後は、キャッシュカードを引き抜いて自宅にとんぼ返りです。

一刻の猶予もありません。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

は、早く帰らねば…

息をつく間もなく、自宅に向けて駆け出します。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

タダイマァァァァ

誰もいない部屋に駆け込みます。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

証券口座に、はよ入金!

目をカッと見開きながら、手早くIDとパスワードを入力します。

カタカタカタ…ッターン!

入金操作も素早く行います。

証拠金維持率を確認すると、100%を超えて余裕も生まれました。

ほっと一息ついたところで、時計を見ると午後の業務開始まであと15分でした。

予定より少し遅れています。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

ひゃあああ早く会社に戻らなきゃー

大慌てで家を飛び出しました。

ぱおにゃん
ぱおにゃん

午後のお仕事も頑張るぞー!

残り僅かな希望と隅に追いやった不安を胸に、気合を入れて笑顔で走り出したのでした。

次回養分伝説第10話「出会い~FXコミュニティ入会~」

養分の歴史がまた1ページ…

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