前回までのあらすじ
ナンピンによって投じている資産の30%を失い、茫然自失のぱおにゃん。
度重なる苦難を乗り越え、稼いできたお金は相場の渦に飲み込まれてしまいました。
それでも尚諦めず失ったお金を取り戻すため、取引通貨種類を増やして再戦を挑んだ行く末とは…
前回は多大なる損失を出してしまったが、
これからは更に取引頻度を増やして取り返すぞ!
全く懲りてない様子です。
より素早く売買出来るように、
別の証券会社で新しく口座を作るよ!
実は今まで使っていた証券口座では、リアルタイムに価格が更新されないという問題がありました。
いちいち更新ボタンを押さないと最新の価格が表示されないため、非常に不便だったのです。
そんな不便さを解消するため、新規口座を開設することにしたのです。
これで成り行き決済が楽に出来る!
ウッキウキでした。
しかしこれもまた新たな失敗の要因となってしまうのです。
これまでの取引では、「リアルタイムで価格が更新されないから、チャンスを逃さないために指値で売買を全て設定する」という手段をとっていました。
指値というのは、設定した価格に到達すると自動的に売買してくれる便利な予約機能です。
この機能を使って買いが集まりそうな価格や、利益確定したい場所に予約設定していました。
設定箇所で勝手に売買してくれるので、枕を高くして眠ることも出来たのです。
ウヒョヒョ!値幅のありそうな通貨ペアで短期取引を繰り返せば、お金がっぽがっぽ!
ぱおにゃんの強みは、良くも悪くも一回買ったらなかなか手放さない「握力」にありました。
しかし今、その強みを投げ捨てて短期取引を繰り返す方向に舵を切ろうとしていました。
さーて、値幅のありそうな通貨ペアは…これだ!
色々チャートを見て選んだ結果たどり着いた通貨ペア、それは…
ユーロ円とポンド円!
ユーロ円はヨーロッパで広く使われるユーロと、アメリカで使われるドルと日本円を掛け合わせた合成通貨と呼ばれる通貨です。
市場規模が非常に大きく、値動きもかなり大きい部類です。
ポンド円も同様に合成通貨ですが、こちらは「殺人通貨」という異名を持つほどの狂った値動きをすることで有名でした。
やるしかないんだ!
固い決意と共に売買スタートです!
新しい口座…新しい通貨ペア…そして迎えた滑り出しは…
最悪でした。
まず「どこで売買をするか?」という判断基準が既にガバガバで、
雰囲気でトレードしていたと言っても過言ではありません。
ぱおにゃんがまず見たのは、証券会社のニュースヘッドライン(価格の変動や、ニュースについてお知らせしてくれるページ)です。
ユーロ円はこの辺りに売りが集まってるのか…なるほどね…
証券会社は顧客の売買指値(予約)情報を見ることが出来ます。
その情報を元に、売買しようとしていました。
移動平均線や一目均衡表とは一体なんだったのでしょうか…
ぱおにゃんの中で、聖杯だったものは最早砕け散ってしまったようです。
よし、ここで売りで入るぞ!!
ぱおにゃんは空売りをします。
価格が上がると予想した時には、その商品を買って(ロング)、高くなったら売る(決済)という方法で差益分が利益になります。
空売りとは、その逆でこれから価格が安くなるだろうと予想したものを、「空売り(ショート)」という取引方法により、安くなったら買い戻すという方法で、下がった分の差益分が利益になります。
オラァ!ここまで上がったんだから下がれや!
自信満々にオラり始めました。
言葉遣いの丁寧な紳士的ぞうさんはもういませんでした。
「あれ? 下がらない…
価格は下がるどころか、階段状にジワジワ登っていきます。
いや…いやいやいや、ここは売り圧が強いはず! 追加売り!
自分の失敗トレードに耐え切れなくなったぱおにゃんは、またナンピンを始めました。
損切は大事だと学んだが、ナンピンしないとは言ってない!
売買根拠がそもそも証券会社からの情報頼りなので、当然出口は見えません。
どうすればええんや…このポジ…
途方に暮れました。
どうしたものかと悩みながらも売り増しは止まりません。
とうとうその年で最高値となる、年初来高値を更新しました。
もおおおおおおおおおおおおおおッッッ
ぞうさんなのに、牛のような悲鳴が響きます。
損切だ損切!!!!
前回食らったナイアガラの滝のことを思い出し、早々に決済します。損切です。
10万円なくなりました。
ウッ…ウゥッ…またお金なくなった…入金しなきゃ…
泥沼に沈みゆく船のようでした。
失ったお金を取り返すために入金を繰り返す負のループです。
ユーロ円はダメだ! クソ通貨だ! ポン円に行くぞ!
別に通貨ペアのせいではないのですが、早々に見切りをつけて、
噂の殺人通貨の元へ向かうことにしました。
なんやこの通貨
チャート初見の感想です。
これまでメインで取引していたドル円よりも、数倍規模で激しい値動きをしていました。
時代はブレグジット。イギリスがEUから離脱するのか?残留するのか?というニュースに一喜一憂する壮絶な乱高下相場です。
何かよくわかんないけど、これだけ値幅あればさすがに何回かは、稼げるだろう!
稼げる根拠は特にありませんでした。
何だか行けそうな気がするー! あると思います!
頭の中はお花畑のようです。
チューリップ畑です。
うおおおおおお!!やったるでーーー!!
意気揚々と荒れ狂う相場に身を投じるのでした。
次回養分英雄伝説第8話「眠れぬ夜と不治の病~ポジポジ病発症~」
養分の歴史がまた1ページ…